2012年12月29日土曜日

2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α)

01. Beru/Fire Eyes Gather Souls
02. Je Suis Le Petit Chevalier/A Guide To The Sun
03. Crippling/Fleeting Talisman
04. Felicia Atkinson/A River
05. Aloonaluna/Bunny
06. Motion Sickness Of Time Travel/A Marbled Youth
07. Lantern/Dream Mine
08. Bitchin Bajas/Vibraquatic
09. Former Selves/Many Moons
10. Eagle Altar/Cut America


11.~30.

Transmuteo/Dreamsphere Megamix
The Exhalers/Wave Reader I.O, II.O & III.O
Buchikamashi/Super Mind
Stephen Molyneux/The Stars Are The Light Show
Sparkling Wide Pressure/Covered In Blue Colors
Run DMT/Dreams
Laser Disc/Visions New Dreams LTD
Netherfriends/Alap
Bernard Femminielli/Telenovelas Mentales
Miami Angels In America/a Public Ranking
Angelo Harmsworth/Silent Orgasm
Ossining/Trike
Imperial Topaz/Imperial
Dolphins Into The Future/Canto Arquipélago
The Aloha Spirit/Under Wild Skies
Mohave Triangles/Eternal Light Of The Desert Plateaus
Thoughts On Air/Glow On
Euglossine/Floridian Abstract
Black Eagle Child/Two Moods
Femminielli/Carte Blanche Aux Desirs


31.~

Merryl/Towel Crown
Ectoplasm/Featuring Denmother
Cube/Bride of Walk man
Bedroom/Solipsist
Nag Dolly/Pomander
Cankun/Isalo Waterfall
Nuojuva/Otavaiset Otsakkaha
Sashash Ulz/Ornamentika
Sylvia Monnier/Never More Camellias
Inez Lightfoot/Three Weaving At The Well
Kyle Landstra/Thought Conjurer
Annie Shaw/Shanty Awe
Indignant Senility/Blemished Breasts
Niggas With Guitars/Continent Gods
MACINTOSH PLUS/FLORAL SHOPPE
LX Sweat/Sweat Sweat Sweat
N.213/Bastard
Cuticle/I Want You
Coppertone/Best of the first six months
Samantha Glass/Midnight Arrival
Polymer Slug/Simple Displays Control
Polluted Water/Nature Man  Woman
FEATURELESS GHOST/Biologically-Sound Cyber-Bodies
Kon Tiki Gemini/Azure Maze
Blue Angels/Isidora
White Poppy/I Have A Dream
Nuojuva/Otavaiset Otsakkaha
ABSINTHE MINDS/THE SONG OF RETURNING LIGHT
Napolian/Computer Dreams/Split
Father Sound/Harpoon Pole Vault/Split
The Garment District:/Melody Elder
Piotr Kurek/Heat
Telecult Powers/Stars Are The Eyes Of God
MALIBU FALCON/How Is Hell Fact Met? All Of Them


上位10傑はわりかしすんなりと。以下は順不同、ということで済ませたかったのだけど、とりあえずベスト30まで絞る。それから下は順不同。全部で60本ちょいか。今年は趣味でカセットのレヴュー、といっても空き時間に携帯でピコピコやる程度のものなのだけれど、を始めたこともあり聴く本数が増え、選ぶのが面倒になり正直やめようかと思ったのだけど、後々まとめて何かの形にしたいと考えていたこともあり、頑張って選んでみた。レヴューで取り上げた総本数は250本前後か。取り上げていないものも含めれば400本近いかと。実際にカセットを買ったものもあれば、何しろ生産本数が二桁前半とか異様に少なかったりするものもあるので、そういう場合はサンクラやbandcampで試聴したり落としたり、またyoutubeに丸々上がっていたりするものを見つけたりしながら、赴くままに聴き漁った。そのへんは去年同様にまちまちで、そもそもレヴューの対象もかなり適当に選んでいる部分があり、なかには今年のリリース作品じゃないものも交じっている可能性大です(なのでリスト内の作品でもレヴューしてないものもある)。だから当然聴き漏らしもかなりあるだろうし、というか聴ききれるわけもなく、じゃあ何かチャートなりメディアによるクリティック・ポール的な見取り図もないのだから網羅することなど到底無理な話。リスト内の作品については、個々に調べていただくか、この一年間のレヴュー内で触れていると思うので参照されたい。

雑感としては、Not Not Fun及び100%Silk周辺に対する自分の中での興味が薄れ、いや実際に今年Not Not Fun及び100%Silkからリリースされた作品はカセットに限らずすべてのフォーマットで退屈なものが多かったし、悪い意味でレーベルの色が固まってきてしまったなーというか、一方でブルース・コントロールやピーキング・ライツといった顔役がブレイクスルーしたというのもあるかもしれないけど、それこそ2000年代後半のフリー・フォーク終盤から続いた異種混交に沸くUS西海岸のアンダーグラウンドのピークはひとつの沈静化を迎えたのかな、という印象も。アマンダ・ブラウンは今年も相変わらず多忙だったけど、個人的にはどれも単調で刺激に乏しく感じられた。ただアイタルだけはその、いろんな影響や潮目が混じり合う過渡期や踊り場みたいなところで音楽を作り続けているような緊張感があり、今年出たニュー・アルバムもよいなと思ったけれど。

その代わりに、というわけでもないが今年は、いや今年もHooker Visionや老舗Digitalisが豊作だった。それと様々な名義でリリースを続けたFelicia Atkinson。Hooker Visionを運営するMotion Sickness Of Time Travelも(生産数が少なくてファン泣かせだが)多作で楽しませてくれた。

しかし、このご時世にカセットで作品をリリースする、それもロットが100に満たなかったり、極端なケースは5本限定……とかって、いったいどういう意図なのだろうかと考えさせられることもあり、でもそれはけっして大量生産されたプロダクトやテクノロジーへのアンチというわけでもなく、むしろ彼らはサンクラやbandcampを通じて作品が聴かれることに対しては積極的で、戦略的でもあるわけだけど、つまり音楽を“消費”ではなく、“所有”するという行為に対する何かしらの投げかけなのかも……とか。もちろんデジタルでも“所有”することは一応可能だけど、そこには“物(ブツ)”であることへのこだわりみたいなものが――それこそあるアーティストが以前、愛犬に噛みしだかれてよだれまみれになり欠損したテープで聴いたU2のテープがマイブラのデモのように聴こえて興奮した、というエピソードをカセットをめぐる思い入れとして熱く語っていたように、あるのかもしれない。そういえばNot Not Funも最初期のリリースは、パッケージから包装・梱包までハンドメイドの装飾を凝らしたものだったと聞く。



話は変わるがベックが、楽譜でリリースされたニュー・アルバム『Beck Hansen's Song Reader』についてのインタヴューの中で、自分が子供の頃は、レコードを買い求めるため市街までバスで移動するという行為まで含めて、ひとつの音楽体験=作品だった、と語っていた。もしかしたらカセット・テープで発表することにこだわりを見せる彼らには、それをブツで聴くのかデジタルで聴くのかでは、大きな違いがあるのかもしれない。

まあともあれ、近年のカセット・リリースをめぐる動き、並びにアメリカのアンダーグラウンド・シーンの状況については、一度何かのかたちでちゃんとまとめようと考えているので、追々。


2012年12月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年11月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年10月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年9月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年8月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)
2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))










1 件のコメント:

  1. はじめまして。昨年もカセットレビュー大変参考にさせていただきました。日本語で情報を得るのはなかなか貴重なので、今年もよろしくお願いいたします!

    NNF周辺が急につまんなくなったのは同意です。ただ、Rotiferなんかはわりとレーベルカラー固まっているのに継続的に好きなので、何が原因かしらん?って思い続けた一年でした。

    個人的にはユーロ圏が面白かったです!特にNo Basement Is Deep Enoughあたりみたいなのもっとでてきてほしいなぁ・・と。RotiferからのRatkillerも出たし・・・

    では、長文失礼いたしました

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