◎Forget the Times/Escape From the Planet of Llamas
ミシガン州カラマズー発。例えるならNYダウンタウンのジャズ・マナー~フリー・ミュージックとガレージ経由のサイケデリック・ロックが衝突。USメイプルからビーフハートの影響も取り沙汰されたり。
◎Mannateas/Banished Hues
フロリダのカセット専門Housecraft Recordsから。名は体を表すというか、深海を反響するような美しく澄んだブルー・アンビエント 。XiphiidaeのJeffry Astinが主宰。
◎Matrix Metals/Flamingo Breeze
LA Vampireとも組むNYのシンセ・デュオ。変則的カットバックでミニマルとディスコを接合&横断。例えばジェームズ・フェラーロが市民権を得たUSインディーとアンダーグラウンドの“端境”を象徴する一組。
米ウィルミントンのシンセ・プロジェクト。ブリブリのテクノデリックなサイケ・アンビエント。一時のソニック・ブームも思わす怪電波だが……ともかく、テープ・メディアとシンセの親和性については、誰がが検証すべきでは。
まさかサン・ラを意識したわけでもないだろうが……濃厚なアフロ・スピリチュアルのヴァイブを感じる。オルガンやサックスの甘く、コズミックなトーン。スピ&リチュアル。
◎Telecult Powers/Stars Are The Eyes Of God
クリーヴランド経由ブルックリン発。“occult synth”の異名をとるが、なるほど最近では北欧のエクトプラズム・ガールズも連想させる魔術性。エメラルズやエクセプターのメンバーがゲスト参加しているのも話題。
マジック・マーカーズのピート・ノーラン属するGHQのメンバー、ってとこに惹かれた。ラーガ・スタイルのサイケ・フォークあり、アースも引き合いに出されるスラッジーなドゥーム・メタルあり。それは振り幅というより、地続きという感覚。
◎TULUUM SHIMMERING/FLOWERS ARE OFFERED
イギリスの音響作家。色褪せというかピンボケというか、モコモコと澱んだシンセ・ドローン。テープの劣化=エイジングで聴こえ方が変わったりとかするんだろうか。
◎MALIBU FALCON/How Is Hell Fact Met? All Of Them
ポートランドのプロジェクト。即興系サイケ+女性VoというパターンからValetやInca Oreを想像し易いが、耳障りなウィスパーヴォイスはキム・ゴードンがソロ等で聴かせるソレに似てる。この界隈のシーンは女性が元気。
共にラッパが特徴的なパンク/ポスト・コア2組によるスプリット・ライヴ盤。エッセンシャル・ロジック~イレース・エラッタ系というか、2000年代初めのKRSやトラブルマンにいそうなガールズ・バンド風情。
◎Non-Horse/Rigor Lore
Vanishing Voiceの一員であるGabriel Lucas Craneのプロジェクト。フリー・フォークの流れから枝分かれしたラディカルなサイケデリック・ミュージック。具体音やフィールド・レコーディングと思しきカットアップ&テープ・マニュビレートを織り込んだ瞑想的音響。
◎Swanox/Dawnrunner
サンフランシスコのAnthony Swanoxによるソロ。NNF主宰ブリット・ブラウンいわく“loner drone-folk”。ダブ処理の甘い残響の中、マット・ヴァレンタインのヘロイン・セッションも思わすウィアードなアシッド・フォークが木霊する。
◎Run DMT/Dreams
◎Black Unicorn/Squid & Whale
◎VIBES/You God It
◎Souffle/Horizon d'attente
◎Tracey Trance/Mummy Fingers
◎Low Light Situations/Office Romance
◎Edibles/Super Space / Mind Peace
◎Quintana Roo/Warmth/Runes Translucent
◎Knitted Abyss/Winter Barn
◎Plankton Wat/Super Minerals /Split
(※2012年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定) )
(※極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
サンフランシスコのAnthony Swanoxによるソロ。NNF主宰ブリット・ブラウンいわく“loner drone-folk”。ダブ処理の甘い残響の中、マット・ヴァレンタインのヘロイン・セッションも思わすウィアードなアシッド・フォークが木霊する。
◎Run DMT/Dreams
ことMichael Collinsによる宅録プロジェクト。Woodsist周辺との交流から浮上したが、これは彼主宰のCulture Dealerからのファースト・リリースになる。ビーチ・ボーイズからJ Dillaまで。あるいは2000年代以降のブルックリンとボルチモアを結ぶサイケデリック・ミュージックの複雑系を凝縮したような……。アリエル・ピンクが醸し出すAOR的なポップ“ス”ネスも。
◎David Andree/In Streams
スターズ・オブ・ザ・リッドのデモをエルヴィウムがリミックスしたような……とも評されるミネアポリス発のファースト。生楽器にエレクトロニクスやテープ・ループスを(ライヴ・プロセッシングで)編み込んだ静謐なアンビエントは、ティム・ヘッカーにも通じる美意識を。
◎Black Unicorn/Squid & Whale
Cane Swordsの片割れ。ジャケやタイトルに漂うナショナル・ジオグラフィック的風味。昨今の、ポスト・シンセ・ミュージックにおける現代音楽/環境音楽というか。90年代末~2000年代初頭にポスト・ロックやスローコア周辺で起きたタンジェリン・ドリームの再評価が、新たな文脈で再起……という感も。
Pocahauntedのアマンダ、Sun Arawことキャメロン・スタローンズ らNNF周辺の要人が集った4ピース。後期ポカのガレージ・サイケ~ファンキー・ダブver.というか、USアンダーグラウンドのニュー・エイジ・ステッパーズといった趣き。
◎Holy Strays/Hyperion
パリジャンのSebastien Forresterによるプロジェクト。ノイ!やクラウス・シュルツェらジャーマン・エレクトロの影響からステレオラブの反響も窺えるシンセ・ミュージック。ディスコティックな俗っぽさも。
◎Kuxan Suum/Kinich Ahau
カリフォルニアから、ブラック・メタルのニューウェーヴ。18分一曲。長々とギターソロが続いた後、烈火の如く燃え上がる。まるで秋山轍次からリタジーへ、てな展開。
◎Souffle/Horizon d'attente
たぶんフランスのユニット。例えるならV/VM風のマッドなエディトリアル系エレクトロニカ。マトモスとかザ・ブックスをミンチにして合い挽きしたような……。ある意味、ハイファイ。
◎Cruise Family/Orbital Express
多名義を持つStefan Kushimaのプロジェクト。ポスト・エレクトロニカとしてのチップ・チューンとポスト・テクノとしてのシンセ・ディスコの(ローファイ再興の文脈をへた)マリアージュ。“lo-fi LED ambient”とは言い得て妙。
◎Gremlynz/Reaper’s Blues
前掲のMalibu Wandsとしても創作する William Cody Watsonのプロジェクト。フィールドレコーディングスも織り交ぜた硬派な?ドローン。多作・多名義は昨今のUSアンダーグラウンドの大きな特徴。辿ると意外な交友録が分かったりして面白いです。リリースは名門Bathetic Recordsから。◎Diane Kensington Devotional Band/Worship and Festival Music for MAINFRAME Devotees Vol. 37
1993年リリース物のリイシュー。俗に“sci-fi”の大家とも。辺境アンビエントというか、シンセ・ドローンのグローカル的展開か。この手は今や世界中に拡散されている。
◎Chubby Wolf/Ornitheology
3年前に他界した夫婦ドローン・ユニットCelerの片割れDanielle Baquet-Longによるプロジェクト。Celerをさらに蒸留させたような、神々しく静謐なアンビエンス……。
複数のレーベルからリリースするアイオワ(?)の奇才。USアンダーグラウンドのオオルタイチ的な、あるいはオールドスクールなボップ・マナーを切り貼りしながら魅せるセンスは、どこかゴー!チームに似たパーティー感も。
◎Low Light Situations/Office Romance
ロスの5人組。“mesmerizing instrumental reverb chamber mystery-jazz”とはレーベルのNNFいわく。スローコアとアシッド・フォークを跨ぐ、夜会のセッション。
◎Edibles/Super Space / Mind Peace
Eternal TapestryやPlankton Watの一員でもあるDewey Mahoodのプロジェクト。サン・アロウのお株を奪う(?)ブギーとタブ・プレートの混交。異境に設けられた、一画の辺境。
アイオワの首領Raccoo-oo-oonの元メンバーによるプロジェクト。ボアダムスらジャパニーズ・ノイズ・ロックの影響も指摘されるが、とはいえライトニング・ボルトとは似ず非なりというか、身近で言えばハリー・プッシーの孫的なキャラクターかと。ビートルズのYesterdayやスプリングスティーンのBorn In the USAのカバー(?)も。
砂漠の真ん中で録音されたスプリット。岩ならぬ砂に染み入る……ドローンの福音。しかし境目が……曖昧。ドローン全般における“作家性”について。
◎Beru/Daughter Of EveロスのJessica Collinsによるプロジェクト。パティ・ウォーターズも連想させるホリブルでゴーストリーな歌声。ノイズやコラージュを織り交ぜながら、祈りのようなアシッド・フォークを紡ぐ。Digitalisから。
片割れがNaked on the Vagueとしても活動するシドニーのガールズ・デュオ。ドラムマシーンを据えた禍々しくゴーストリーなギター・インプロビゼーション。トーク・ノーマルもポップに聴こえる、凍えるようなファズ・エクスペリメンタル。
◎XIPHIIDAE/HONEYGUISE
フロリダのJeffry Astinによるプロジェクト。ループやサンプリングを異種混交に編み込んだ呪術的ミニマル・サイケ。ガムランは溶け出し、テリー・ライリーは海の藻屑へとフェイド・アウト……
◎Infinite Body/From Now On We’re Weightless Here
ノー・エイジ主宰のPPMからもリリースする“無限体”ことKyle Parker。イーノやフェネスの衣鉢を継ぐ、荘厳なミニマリズム&叙情的なノイズ・アンビエント。
◎Pierrot Lunaire/Turn Back The Hands Of Time
身元不詳。サックスとテープ・ループで編まれた奇怪極まるコラージュ音響。アフロ・スピリチュアルも道化の小道具に。akaエターナル・タペストリーとakaマジック・ランタンによるスプリット。中身はともかく、現在のUSアンダーグラウンドにおいて、ジャッキーO周辺から引き続くポートランドの音楽コミューンが重要拠点であることが窺い知れる作品、かと。
◎TG GONDARD/AVONTUUR
NNFよりベルギーのエレクトロニクス・アーティスト。サン・アロウ流のタブ・サイケ。TG=スログリへのリスペクトも宿る(っちゃあ宿る)奇矯なノイズン・パラノイア。他作品のドローニッシュな作風と比べると、はるかにポップで、ファンキーでさえある。
(※2012年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定) )
(※極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
(※2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
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