
デトロイトの100%シルカー。女性Voを乗っけたシンセ・ポップというレーベル・カラーを押さえつつ、ドローンやダブやアシッドハウス、さらにMachinedrumも連想させるベース・ミュージックを展開しながら地熱を上げるようなピークの持続感がナイス。

シンセと波の音が揺らめきながら交差するDolphins Into The Future系のフローティング/アンビエント。深海と成層圏の間を漂うようなエアリアル・ドローン。

去年もDigitalisは楽しませてくれた。そこの限定ラインから。レトロ・フューチャー、という言葉が醸し出すどうしようもなくチープで古臭いSF映画のサウンドトラックというか、チップチューンや8ビットのゲーム音楽に感覚は近い。ピコピコのポワンポワン。シンセの音ってどうデコレートしたところ致命的に安くて軽い。

昨年は例年以上の繁忙期を迎えた、パリ~ブリュッセルを往来する女性アンビエント作家。Motion Sickness Of Time Travelと並んで彼女の場合も量が質を支えているような節があり、レイヤーを重ねた鈍く眩いアンビエントは底の見えない深い河を陶然と曳航するよう。

ボルチモアの男女デュオ。Night Peopleのレーベル・オーナーでもあるRaccoo-oo-oonをアンビエント/ドローンのペーストでどろどろと煮込んだような混沌。鍋底にこびり付いた澱にはSunburned Hand Of The Manを思わせるフリー・フォークの残滓も感じられ、思いのほか芳醇。

静かなる性的絶頂、か。Batheticのレーベル・カラーにふさわしく(去年でいえばPadang Food Tigersのアルバムが素晴らしかった)ややフォーキー・テイストなミニマル~エレクトロニック・ミュージックのやわらかな美観を描きながら、フェネスも引き合いに出されるアンビエント~ギター・シューゲイズとの臨界点を示す。前作が『Endless Summer』なら今作は『Venice』という例えにも頷ける。

本名をShawn Rosenblattという男性ドローン作家。正規作品ではなくアウトトラック/デモ集的な趣きが強く、なんでもシカゴのヨガ教室での体験にインスピレーションを得て制作されたというアンビエント~ドローンの断片をコンパイル。

テープ・エコーとループを操りポップスの砂上の楼閣を作り上げる愉快犯。初期のアリエル・ピンクとVaporwaveの間隙を突くような脱力した匙加減。

◎The Aloha Spirit/Under Wild Skies
“オースチンのPanabrite”ことBrad Barryのプロジェクト。シンセのループをひたすら重ねた微睡の瞑想音楽。アロハとは「息の存在」や「生命の息」の意、その精神とは「自己完全に達し、自己の愛と精神を理解するということ」とか。

個々でも活動する(たぶん)男女デュオ。アンビエントなピーター・ポール&マリーというか、チョップド&スクリュードなCeler、というか。アートワークもよい。

Night Peopleからカセットで再発されたモントリオールのシンセ奏者。Digitalis100%Silkを繋ぐ……といったら見積もり高過ぎかもだが、、 ポップ/ダンスへの誘惑がアンダーグラウンドの様々な場所で花咲き始めていることがあらためて窺えるモダン・シンセ・ディスコ。

Hooker Visionの豊作を物語るRobert Thompsonの新作。砂漠のBarn Owlか荒野のSix Organs of Admittanceか。濃厚極まるモダン・サイケデリック・ドローン。

◎Thoughts On Air/Glow On
Hobo Cultからのリリースでお馴染みScott Johnsonによるプロジェクト。ギター・ループやエフェクト、シンセを絡めて紡ぐ『Endless Summer』のエアリアル・ヴァージョン。

アントワープに拠点を置くMale Bondingから。おそらくは日系女性アーティストの作品。フィーヴァー・レイとベス・ギボンズと吉田美奈子?の間を埋めるperformer/vocalist/choreographer/dancer。真夜中のゴシック・ダーク・ブルース。

◎Lazy Magnet/Crystal Cassette
ライトニング・ボルトを輩出したプロヴィデンス・ロードアイランドから。リリースはNight People。ゲイリー・ニューマンがトランザムのフィル・マンレイのプロデュースで100 Silkからリリースしちゃったような、ダウナーなアンダーグラウンド・シンセ・ディスコ。

Francis (Hobo Cubes) & Ryan (Sundrips) によるコラボ。しゅわしゅわーと喉の仏を潤す微炭酸のような、鈍色でドリーミーなエレクトロ・シューゲ~ギター・アンビエント。

◎Europa Rural/Berlenga/Split
イルカとプーチンのレーベルEXO TAPESから。ボンゴやカリンバがビートを叩く亜熱帯のフローティング・アンビエント。黄昏時のビーチを漂うUniversal Studios Floridaというか。

hooker visionから。 ロシアのふた組によるスプリット。日本語のスピーチがループするフォーキー・アンビエント。シンセが絡み合うピーキーなエレクトロ・チューンも。
(※2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
(※2012年12月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年11月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年10月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年9月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年8月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
(※極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
(※極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)
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