WIREの最新号(2011年5月号)にNOT NOT FUNに関するレポートが掲載されている。それを読んで膝を打ったのは、NOT NOT FUNの出発点に際して、創設者の片割れでミュージシャン(Pocahaunted ~ LA Vampires)であるAmanda Brownの個人的なRior Grrrl体験や当時のジン・カルチャーからの影響(、そしてSmellなどアメリカ西海岸のコミュニティとの出会い)が背景にあったという事実。カセットやハンドメイドの作品リリースにこだわる姿勢、あるいはNOT NOT FUNからリリースされたコンピ『My Estrogeneration』の経緯とはなるほどそういうわけか、と。そして、NOT NOT FUNをはじめとする現在の「アンダーグラウンド」シーンの特徴として、例えば一人の同じミュージシャンが複数の名義を使い分けて様々な音楽性を披露するように、ジャンルの蛸壺化に向かうのではなくその徹底した移動と横断、またそこに際して様々なミュージシャン或いはレーベルがシェアしたりされたりする関係が構築されること、こそが重要な点だと強調している。くわえて、NOT NOT FUNの音源リリースに関して、カセットやアナログといったフィジカルな形態にこだわり、近年のデジタル・メディアに傾斜した聴取環境に抗いを見せる一方、インターネットを介したグローバルな情報の伝播が、彼ら多くのマージナルなミュージシャンたちを押し上げるアドバンスとなり、またその結果そこには従来の地政学的なかたちとは異なる新たな「シーン」や「コミュニティー」が醸成されることの重要性も同じく彼女は強調している。裏を返せば、デジタル環境の恩恵を望むと望まざるにかかわらず授かっているという自覚があるこそ、彼女たちはアナログ・メディアを志向するのかもしれない。そのあたりは以前ピッチフォークに掲載された「This Is Not a Mixtape」と題された記事(http://pitchfork.com/features/articles/7764-this-is-not-a-mixtape/)でも述べられていた内容と重複するところがあるものの、2000年代末から2010年代初めにかけての、この端境期における音楽状況の潮流の内実をかなり的確に突いたレポートだと思う。以上雑感。なお参考jまでに過去の拙稿を。
(http://junnosukeamai.blogspot.com/2011/01/this-is-not-mixtape-httppitchfork.html)
(http://junnosukeamai.blogspot.com/2011/01/2010.html)
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