◎Tassels/The Rosicrucians
Digitalisの限定ラインからリリース。ドローン・テクノというかドローン・ディスコというのか、例えばジャッキー・O周辺が結成したBlack Magic DiscoとかBurning Star Coreにも似た持続感と疾走感がある。とある秘密結社を意味するタイトルの通りコンセプト・アルバムらしく、それっぽいメッセージがコラージュされてまぎれている。
◎YlangYlang/Tune your eyes to kaleidoscopic vision
カナダのNot Not FunことJeunesse Cosmiqueを主宰する、モントリオールのアマンダ・ブラウンことイランイラン。まさに浮女子というかSilk化する前のアマンダに似たアヴァンギャルドなノリもあり、トリッピーなシンセ・ドローンとヴォーカル・レイヤーとリズム・ボックスで音響を形づくりながら、シューゲーズありインディ・ロックありダーク・ウェーヴあり……と自在に振れる。US西海岸とカナダ地下の相似関係はあらためて刮目に値する。
◎Thoughts on Air/Paleo Sails
Scott JohnsonのTOA名義による最新作。アンビエンタルでヴィンテージ・エレクトロなギター・ミュージック。ヴォーカル・エコーやコラージュも重ねながら肌触りなめらかなドローン空間を創出。ギャロの『When』と一緒に、夏になったら涼みに聴きたくなるような一枚(一本?)、かも。
◎Tomutonttu/Triplapuisto
近作はFonalからのリリースでお馴染み、北欧フリー・フォーク・コンボKemialliset YstavatのリーダーJan Anderzenのソロ・プロジェクト。宅録感まんさいのアヴァン・トイ・ポップ。イスラヤとかFoanalの女子勢の音作りにも通じるチャイルディッシュでアミニスティックな音の箱庭。耳愉し。
◎Tonstartssbandht/Sinkhole Storm and Sandwich
フロリダのホワイト兄弟。最近もベッドインして朗々とデュエットする映像が公開されたり、仲の良さと芸風の広さで知られるブラザーだが、今作ではサイケでブギーな10分超え2曲のロング・ジャムを披露。ダーティ・ビーチズと親交が深いというのも頷ける。
◎Wind in Willows/Deepness in the Sky
ベッドルームの実験や遊戯の波が東欧諸国まで及んでいることは日々Bandcampを徘徊すればわかることだけど、それはニューエイジ~ドローンも例にもれず。ロシアの気鋭アンビエント作家。惑星ソラリスから届くシンセ・ドローンの電磁波。
◎Worn Vessels/Tragedies Of War
知る人ぞ知るThe Radiant Nowが立ち上げたレーベルから、ベイエリアのダーク・ノイジシャンによる1本目。黙示録を読み上げるようなドローンのうねり。けたたましい黒煙。
◎URNA/Larvae
イタリアから異色のアンビエント。ベルやゴングやフィールド・レコーディングも交えたリチュアルな音響に、うっすらインド~中近東風の旋律が絡み合う。どこかフィンランドのKeijoも想起させるフリー・ドーキィな趣向。
◎Venn Rain/Cymatic Cymbols
Tidal名義でもリリースするドローン作家。持続音にスピーチがコラージュされたり環境音を重ねたりもしながら、息苦しくもエピックなサウンドスケープを描き出す。救いのないニューエイジ・トリップ。
◎Zac Nelson/Improv(e)
トライバルなブロークンビーツ&コラージュ。リンガラやアフロ・ミュージックからの影響も窺わすA面から、打って変わりニューエイジなアンビエンス~シンセ・サイケを展開するB面へ。辺境への想像力というか、プリミティヴなものへの憧憬や誤解といった過剰さが歪に表出されているところが魅力。素性は不明。
(※2012年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
(※極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)
(※2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
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