2012年4月1日日曜日

2012年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定)


◎Ethereal Doom Cosmonaut / Bleak Tails/Mr. and Ms. Erotic America
EDCはCampfireという名義でも活動したSebastian Dionisioのプロジェクト。ダブとKompaktを結ぶフィールド・レコーディングス風アンビエントは、最近ならDolphins Into The Futureにも通じる感性。かたやStephen何某によるBTも、独特なシークエンスでストーリーを紡ぐアンビエントの使い手。しかしこの作品タイトル、アホっぽくていいなあ。

◎T. Fuller/Eat Your Beets
Prairie Fireから3作目となるテレンス・フラー。A面のパーカッシヴなエレクトロニクス、転じてB面はインダストリアル・マナーのブロークンビーツ。なんてことはない……と言ってしまえばそれまでだが、こうした作品が容易に可視化される状況から、新たな才能が生まれフックアップされるのか、それともダダ漏れのまま平坦化されていくのか、ここからしばらくは見所でもある。しかし、CS作品はジャケ買いの醍醐味を再燃させるなあ。



◎ABSINTHE MINDS/THE SONG OF RETURNING LIGHT
ウィスコンシンのドローン・サイケ・トリオ。NNFから2009年リリース、というわけでこの時期はポカ始めレーベル一堂揃いも揃ってズブズブのドロドロという。ジェームズ・フェラーロさえ生温い?アンダーグラウンド・シンセの鬼才Dead Lukeがゲスト参加、さらにはゾラ・ジーザスも歌ってます。



◎Red Electric Rainbow/Reptile Brain/Split
RERことシカゴのDaniel D. SmithとタブリンのDandrew Dogartyによるスプリット。OneohtrixやMistをコズミック~ニューエイジに拡張したようなアナログ・シンセの多重多層アンビエント。たとえばボーズ・オブ・カナダのふたりの原風景にナショナルジオグラフィックの映像があったように、目下のUSアンダーグラウンドがニューエイジやアンビエントにうなされる背景には、何事があるのやろう。




◎Padme/Wisdom from the Stars
ジャーマン・アンダーグラウンドから、「クラウト・ロック経由ドローン行き」のアウトバーンをタダ乗りし続けるUSアンダーグラウンドへの、ささやかなカウンター。B級C級ホラーにインスパイアされたという、ダリオ・アルジェントでジョン・カーペンターな?シリアル・シンセ・ドローン。



◎Dry Valleys/Movile Cave Sojourns
カナダのテープ専門Old Frontiersから。執拗に練られた具体音&コラージュは、こちとらよっぽどホラーでテリブル。スロッビング・グリッスルとかクロームの死体や屍をなぶってねぶってしがみ続けるようなネクロフィリアな暴力音響。Hooker Visionsから出てる他作品も聴き応えアリ。






◎Knyfe Hyts/Mementos
ブルックリンのガレージ+ニューウェーヴ。モードは2000年代初頭な感じ。A.R.E.ウエポンズとか初期ライアーズとか。2000年代リヴァイヴァルなんて……まさかないよな?



◎Food Pyramid/Ⅲ
ミネアポリス?ミネソタ?のクインテット。時折ピアノやサックスも織り交ぜた茫洋たるクラウト・ロック・スタイルのドローン・アンビエントは、個人的に既聴感もありつつ……目下USアンダーグラウンドにおける最強のジャンル音楽となった、この手の“環境音楽”の背景に思考をめぐらせる、、、



◎Tonstartssbandht/Hymn
オーランドのアンディー&エドウィン・ホワイト兄弟による、録音時期もバラバラな 6曲入り。サンプリングを下敷きにしたダーティー・サイケ・ロックから美麗アンビエントまで。80Sポップやコスベルも露悪的に演じる諧謔趣味の源流には、生まれ育ったニューヨーク~モントリオールのアンダーグラウンドと通じるものも。また思いを馳せるのはパンダ・ベア『パーソン・ピッチ』のフリークアウトした神々しさ……だったり。




◎White Hills/The Process
今やスリル・ジョッキーにおける顔役の一角として存在感を増すニューヨークの巨魁スペース・ロック。本作はアルバム『H-p1』のメイキング的作品で、ジャムやリフのアイディアが素材感生々しい姿で記録された、つまりあの重厚にして疾走感溢れるサイケデリアの肉汁のような灰汁のような。



◎Angelo Harmsworth/Untitled
名門Batheticから。ギターやシンセやピアノのループに、靄のようなテープ・ヒス。さらに子供達の遊び声などフィールド・レコーディングも編み込んだセピア色のサウンドスケープはビビオやボーズ・オブ・カナダに喩えられるのも頷ける。時が時ならフリー・フォークやフェネス『エンドレス・サマー』の反響も。

◎Kwjaz/Kwjaz
Not Not FunからはアナログでリリースされたサンフランシスコのPeter Berends。ジャケットは体を表す好例。モクモクと煙るドローン・ジャズにサンプリングやタブ/サイケのマナーをくゆらせた……推して知るべしか。



◎Lasers For Eyes/Cult of the White Orchid​/​The People Long Only to Live
現在は解散してしまったポートランドの菜食主義者デュオ。DFA1979に成り損ねた、、、というと語弊しかなく不正確だが、デュオとは思えぬ手数と熱量のガレージ・ロック。ジョイ・ディヴィジョンのカヴァーも程よいコスプレ感。



◎Mind Flayer/It's Always 1999
片割れはライトニング・ボルトのブライアン・チッペンデール。過去にはウルフ・アイズやミシガン時代のアンドリューW.K.も出入りした牙城Bulbからリリース……という言わずもがなの展開。中距離のノイズ&エレクトロ・ジャムは構成もへったくれもないが、意外と聴けてしまうのは心地良くパーカッシヴなオノマトペ感ゆえ。


◎Parashi/Troika
ニューヨークのミニマリスト。電磁コイルを思わせるプラズマティック・ノイズに被さるブーン、ブーンという持続音、金属片が擦れ合うような不協和なムードがいかにも。GranitkorridorとのスプリットCSも秀逸だった。



◎Pedro Magina/Nineteen Hundred And Eighty Five
Not Not Funから美麗なニューエイジ・シンセ。後の100%silk(どうでもいいけどナイロン100%を意識したネーミングなのかしら)と接続するラインではなく、Emeraldsや少し前までのOneohtrix Point Neverにも近いミニマル・アンビエンス。


◎Pepepiano/King
カリフォルニアのデヴィッド・バードによるソロ。チルウェイヴとウォンキーのいいとこ取りというか、デイダラスやLAのLow End Theory周辺、あるいはBaths発掘以降のAnticonと同期した快楽主義とビートの鋭度。ブレイクはタイミングの問題か。LA、いやはやバンキャ恐るべし。



◎Napolian/Computer Dreams/Split
Lo-fiでもHi-fiでもなく“Mid-fi”、、、はたしてそんなジャンル/タグがいつの間に出来たのか。 ともあれ素性もイマイチ不明な2組によるスプリット。 チルウェイヴ~チョップド&スクリュー系の今様シンセ・ファンク。“ヴィンテージ・フューチャー”、、、はたしてry


◎Red Math/Unhinged
名門Digitalisからナッシュヴィルの何某。ノイズ~ドローン系ではなくダブステ~ドラムンに接近を見せるミニマル&インダストリアル・ビートはたとえばDemdike StareへのUSアンダーグラウンドからの応答という趣も。余談だがModern Love~Kompaktの繋がりは今後が興味深い。
























2012年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))

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