ところで、今出てるindies issueの最新号で七針のことが紹介されていた。「即興音楽、あるいは実験音楽とうたをメインとする若手ばかりが出演している小バコ」と。
なるほど。
ただ、僕がこの一年弱のあいだ、実際に足を運んで観てきたものとは少し違うような気もした。かなり狭い見方ではないか、と。
たしかに、「即興音楽、あるいは実験音楽とうた」は、七針に出演する音楽家たちについて指摘できる大きな特徴なのかもしれない。けれど、それを「ばかり」と言ってしまうのは乱暴というか、矮小化のような気がする。
少なくとも、わずか一年弱だが自分が実際に観た限り、いわゆる「即興音楽、あるいは実験音楽とうた」以外にも、あの場所にはペインターやビデオ・アーティストやホーミーや、ロック・バンドもいた。
むしろ、異種格闘技的な面白さや緊張感が七針にはあると僕は思うし、ひとくくりにできてしまうような狭いサークルではなく、もっと世代を超えた(そもそも記事で触れられている「若手」の定義がかなり曖昧なのだが)、ジャンルを超えた、国籍やローカリティも超えた、それでいてゆるやかな連帯のようなものを、あの場所が見せてくれる音楽/アートには強く感じる。
たとえば先日のフェルナンド・カブサッキやWoodsのメンバーの別プロジェクトであるNonhorse、ボルチモアのダスティン・ウォンやにせんもんだいの美人レコードから作品をリリースしているWaiters、また残念ながら先日出演がキャンセルになったしまったがClaudio Rocchettiのような海外のアーティストの出演も、けっして頻繁ではないかもしれないけど何度か七針では観る機会があったし、そして、すべて日がそうではないが、出演者自身がキュレーションしてその日のプログラムを企画したりするところも、七針の面白さかもしれない。
僕個人はまだ七針に通う(と言えるほど詰めているわけではないけど)ようになって一年と満たない。けれど、あの場所には様々な“気づき”があり、もっともそれはただ僕がそれまで知らなかっただけなのかもしれないけど、とにかく、そこで観たり触れたりするものが一度たりとも同じものであったことはない。
そして、僕個人が、七針やあそこで観たり触れたりするものについて面白いと感じるいちばんの大きな点は、また別にある。それは、話は変わるが、最近のアメリカのインディ・シーンについても同様に言えることなのだけど、それはもう少し、いやもっとたくさんの機会、実際にあの場所で自分の目と耳で確認したうえで、どこかで、いや個人的に、いつか書いてみたいと思ったりしている。
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