Alfred Beach Sandal@七針。ようやくライヴを見れた。フリースタイルなドラムとラッパ&スティールパンを従えたトリオ編成は、作品で聴くボッサな調子の弾き語りとは違い、まるで赤道直下の密林と20年代のニューオリンズを行き来するように(!?)スリリングだった。
2010年11月04日(木)
Alfred Beach Sandalを見るのは、この前の七針に続いて2度目。まだたった2度目だけど、この人の演奏を見ていると、ギター一本と歌、という表現には、まだまだ汲み尽くせない未知なるものがあることを実感させられる。
ちょっと形容し難い感触なんだけど、そこに「私」がいない、とでもいうか、「私」という容れ物から覗く風景をひたすら綴っていくような語り部的な歌の感じがとても好きで、それは僕にはまるで琵琶法師が弾き語る平曲を思わせたりもする。ひたすら叙事的で、歌うように語り、語るように歌う。
歌声がそう錯覚させるのか、それともあの飄々とした佇まいがそう思わせるのか、まだわからない部分は多いのだけど。スティールパンを迎えた演奏も、この前の七針での観たそれ以上に謎めいていた。
2010年12月18日(土)
Alfred Beach Sandalに果ての果てまでふっ飛ばされた。イチラク氏のドラムはクリス・コルサーノのこんな逸話――奴なら岩石と亀の甲羅で太古の精霊を呼び寄せることができる――を思い出させた。
2011年01月22日(土)
七針でAlfred Beach Sandal。ドラム、ベース、ラッパ&鍵盤を迎えた四人編成は初。ベースがグルーヴを支えることで、歌が、音が自由奔放に遊びまわっていた。めちゃファンキー。バンドのアンサンブルが、ビーサンの実はポップシンガーっぷりを浮かび上がらせていたマジック。
(VIDEOTAPEMUSICは、映像編集と魔笛のようなピアニカが醸し出す、甘ったるくも禍々しい時間の感覚が個人的にケネス・アンガーの諸作を思わせた。即買いしたCD『Summer Of Death』も素晴らしい。赤道直下で惰眠を貪るような、熟れ熟れのリゾートマッドポップ)
2011年05月05日(木)
Alfred Beach Sandalは今迄観たライブ、どれ一つと同じ編成/メンバーのものがないという偶然。今日はゴンチチ編成だったが、飄々と言葉を繰るさまが渋かった。
2011年05月27日(金)
Alfred Beach Sandal@ゲラーズレコ発。今日もABSは“何か”をやろうとしていた。とても緊張感があった。ABSはけっして漫然とライヴをやるようなことをしない。それは見るたびに異なる編成やアレンジにも表れているけど、昨日のライヴでもABSは“何か”を狙っているように思えた。(そしてそれは秘密裏のうちに成功していたはずだ)
キムによるアートワークが美しいギター・ソロ作品『Flipped Out Bride』。キムとやってる夫婦デュオ、ミラー/ダッシュ(映画『ラスト・デイズ』のサントラにも曲提供していた)のライヴ盤『Live At Max's』(ウルフ・アイズ主宰「AA Records」から)。ジャッキー・Oやダブル・レオパーズのライヴCDRもリリースする「U-Sound」から、サーストンを筆頭に兄ジーン・ムーアら8人のギタリストが師匠グレン・ブランカを連想させる不協和なギター・オーケストラを奏でるプロジェクト=ニップル・クリークと、女性エレクトロ/ノイズ奏者ジェシカ・ライアンのユニット=キャントによるスプリット盤『New Vietnam Blues/Messy Mystery』。通称“Without Kim”と呼ばれる、ソニック・ユースの野郎3人と、サーストン&ジムと組んだディスカホリック・アノニマス・トリオのメンバーでもあるサックス奏者マッツ・グスタフソン(彼もボアダムスのEYEとの共演でATPへの出演が予定されている)が延々インプロを繰り広げる『New York-Yastad』。そして、アンドリューWKやドン・フレミング(サーストンやJもゲスト参加したことがあるヴェルヴェット・モンキーズを率いたDC~NYアンダーグラウンドの重要人物。一時ダイナソーJr.に在籍していたことも)も参加する流動的ハードコア・ノイズ・インプロ・グループ、トゥ・リヴ・アンド・シェイヴ・イン・LAの最新作『Horoscopo: Sanatorio de Moliere』。