◎Comanche/Silicon Basilica
音楽性と土地柄の紐付け、あるいは経歴や人脈と音楽性との脈絡が今やあらゆる領域においてグダグダで、いわゆる通史的な遠近感を伴う聴取みたいなものはもうマヂ無理。。と痛感してならない昨今。いわば“総ミクステ化”みたいな、まさに“ランダム・アクセス・メモリーズ”とはじつに現在を象徴する示唆的なタイトルだなーと改めて。似たような実感は数年前にスフィアン・スティーヴンスの『The Age of Adz』を初めて聴いたときにも得たものなのだけれど……そのことについては以前にこうツイートした。「スフィアン・スティーヴンスの新作を再聴。傑作なれど、この目まぐるしさ、過剰さを、それほどさように感嘆するまではなく…それはたぶん、よく言われていることだけど、自分の耳が、気付かない内に、想像以上に断片化され、トランスカルチャライズされてしまっていることの表れなのかなあ、とも」「スフィアンの“ルーツ”への関心とは、いわゆるアメリカーナ的なそれではなく、そもそも(現在の形で言う)アメリカにルーツなんて呼べるものなどない、という“起源”への疑い、の裏返しなんじゃないかと。つまり鼻っからトランスカルチャライズドされ、ミックステープのようなアメリカの祖型学」。あるいはこんなふうに。「タモリの『タモリ3』、やってることって多分、今でいえばスフィアン・スティーヴンスの「THE 50 STATES」みたいなものだと思うんだけど、デタラメ(偽史、模写、我流etc)を本物っぽく見せる・聴かせる技能ってのは、おそらくタモリの全ての芸(能活動)に通じる氏の才、なんだろうな」「タモリの「タモリ3」、これ、戦後日本の音楽・文化や歴史をテーマにした、いわばでスフィアン・スティーヴンスが「THE 50 STATES」でやろうとしたことの47都道府県バージョンだよなあ。ただ、脚色とデフォルメの効いた、偽史的要素が濃いけど」。この辺りは別の機会に改めて精査したいな。
◎Daytime Television/Youth With Skull I&II
お馴染み〈Exo Tapes〉から安定のヴェイパーウェイヴ。なんかもうこういう音楽を聴いていても耳が全く反応しなくなってしまった。ただ右から左へ受け流すように聞き流す……そのへんの退屈さ、物足りなさというのもやはり上記の内容と繋がっていて、もはや聴き方や視点みたいなものを意識的に変えることで“脈絡”や“遠近感”みたいなものを強引にでも炙り出さないかぎり、それはただ、無限に広がるネット空間でたまたま出会った一回かぎりの点在する聴取体験に過ぎず……という、ありきたりの感想しか。まあ、そういうリニアに線が伸びて面へといたるような“シーン”とは無縁であり、だからこそ“今”なわけだけど。それとは別の話で、本作についてはInternet Clubとの共演がフックなんだろう。
◎ Marie Davidson/Marie Davidson EP
ぱっと見はグライムスとシャルロット・ゲンズブールを足して割ったような面影。Les Momies de PalermeやHotel Monochrome等々のユニットで活動してきたモントリオールのシンセ女子によるソロ名義で、アブストラクト~イルビエント(懐かしい!)や仏語のスポークン・ワード(?)も操り数多の先達&玉石混交のフォロワーを煙に巻く。リリースはテキサスのカセット&ヴァイナル専門〈HOLODECK〉から。
◎silent land time machine/I am no longer alone with myself and can only artificially recall the scary and beautiful feeling of solitude EP
テキサスはオースチンのサイケ・フォーク~コラージュ作家。幾重にも重なる霧深い音響テクスチャー、ストリングスの悲嘆にくれた調べ、ピアノが奏でる懐かしいメロディー、猛禽類の鳴き声、ヴォイス・サンプリング、不規則なピッチ、ダウン・テンポ……などなど。Brothers Of The OccultとIlyas Ahmed、ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー、ボーズ・オブ・カナダが4トラックにしたためたサウンド・ダイアリー。
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※2013年10月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年9月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年8月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
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※2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
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※極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
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※極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)