2013年12月30日月曜日

2013年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α)

01.DWELLINGS/Dont Say Nothing(Tesla Tapes)
02.Lumisokea/Contrapasso(Opal Tapes)
03.Ahnnu/Battered Sphinx(NNA Tapes)
04.FOODMAN/「IROIRO」(Digitalis Recordings)
05.Devonwho/Perfect Strangers(Dropping Gems)
06.Tereshkova/Intergalactic Letdown(Lillerne Tapes)
07.Lace Bows/Bows of Summer(Exo Tapes)
08.Not Waving/Redacted(ECSTATIC)
09.White Poppy/Drifters Gold(Constellation Tatsu)
10.DRU​$​S/DRU​$​S(Tesla Tapes)


11.~20.

・Astral Social Club/Destiny Snfu(NNA Tapes)
・Bataille Solaire/Documentaires(Constellation Tatsu)
・Decimus/Glass Tetany(NNA Tapes)
・Filthy Huns/S/T(Not Not Fun)
・MICHAEL O'NEILL/MICHAEL O'NEILL(Tesla Tapes)
・Personable & Dwellings & Druss/Mirror & Gate Vol. III(Opal Tapes)
・Profligate/Dormant(GROVL)
・Rangers - Scrap(Bezoar Formations)
・Teleseen/Passages(100% Silk)
・x.y.r./Big Calm (Singapore Sling Tapes)


21.~30.


・Aloonaluna / Motion Sickness of Time Travel/Split(Constellation Tatsu)
・Clime/Two Crests(Space Slave)
・Discoverer/Mind Deco(VCO Recordings)
・Former Selves/In Passing(Hi Shadow)
・Forming/Variations Of The One Essence (Worn Habit)
・Golden Pawn/This Lake is a Misty Mirror(Space Slave)
・Howard Stelzer/The Impossible Astronaut(NNA Tapes)
・Manse/Lying In Wait(Opal Tapes)
・Saintes/Horizontal​/​Vertical(Crash Symbols)
・Sunny Dunes/Anhydride Tapes (La Cohu)


31.~

・Demdike Stare/The Weight Of Culture(Self Release)
・Dylan Ettinger/Crucify Your Love(Night People)
・Floating Gardens/Generalife (Constellation Tatsu)
・Fluorescent Heights/Vendetta In Paradise (Sicsic Tapes)
・Günter Schlienz/Organ Studies (Constellation Tatsu)
・Je Suis Le Petit Chevalier/Those Vermillion Sands(NNA Tapes)
・Jeremie Grandsenne/Ritorno a la Vida, Ritournelle(Space Slave)
・Motion Sickness Of Time Travel/Eclipse Studies (Hooker Vision)
・Obrillos Ryebon/Classics(Lava Church)
・Patricia/Body Issues(Opal Tapes)
・The Savage Young Taterbug/Journeyman's Cheddar(Night People)
・Stag Hare/Angel Tech(Space Slave)



自分的には順位はあってないようなものなのだけど、上位の五つぐらいは揺るがない感じだった。11位以下はそれぞれアルファベット順に。去年、一昨年とは違って今年は今年リリースされたもの限定で選んだ。もしもそうじゃないものが紛れ込んでしまっていたらご容赦を。

今年は後で自分が確認しやすいように作品名の横にレーベル名を付けたのだけど、今まであれだけUSアンダーグラウンドものにハマっていたくせに今年は見事に自分の趣向が変わった模様。それこそ〈Not Not Fun〉周りとか〈Night People〉、〈Hooker Vision〉ものが目に見えて減った。サイケだノイズだアンビエントだニューエイジだ、って作品に対して食指があまり動かず、代わりにビートものやインダストリアル系を好んで聴いていたようだ。

そうした中で今年は〈Tesla Tapes〉と〈Opal Tapes〉に出会えたことが収穫だった。しかも偶然だが共にイギリスのレーベルというのが興味深かった。活況が引き続くUSアンダーグラウンドが爛熟期を迎えたとき、どんな形で「出口」が訪れるのか。けれどもUSアンダーグラウンドはいまだ底が見えず、そうこうしてるうちにUKアンダーグラウンドが新たな台頭を見せ始めた、といった感じか。とはいえUSほどの多様性は確認できず、この動きが今後どのような展開を見せるのかわからないけど、半ば惰性的に続いたカセット生活に刺激を与えてくれた兆候として、来年以降も引き続き注視したいと思う。

しかし、今年はめっきりカセットを買わなかった。送料がバカにならず、可能な限りネットで聴けるものはそれですまし、全曲試聴できないものはデータで購入、さらに気に入ったものは厳選した上で現物を買うようにした。愛用していたショックウェーヴが壊れてしまったことも大きかった。一時、代替機で聴いていたのだけどテープが絡まって切れてしまい、それが怖くなり何となく実物で聴かなくなってしまったのだ。ビデオテープは専用のキットで自分で直したことがあるけど、カセットはその場合どうしたらいいんだろう。そういう業者さんがいたりするのだろうか。
来年もカセット・レヴューは継続する方向だけど、なんか新しい形で見せられたらいいな、とか考えている。


今年もお付き合いありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。



2013年12月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年11月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年10月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年9月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年8月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)


2013年の熟聴盤⑫

・ Stephen Malkmus and the Jicks/Wig Out at Jagbags
・ Trentemøller/Lost
・ Mogwai/Rave Tapes
・ Dum Dum Girls/Too True
・ Alfred Beach Sandal/Dead Montano
・ AHNNU x D/P/I/SHE WAS NO TAME THING
・ Salem/GOODBYE
・ D/P/I/Fresh Rose
・ Ahnnu/Battered Sphinx
・ 禁断の多数決/アラビアの禁断の多数決
・ Yukari/Echo
・ BLACK KNIGHTS/MEDIEVAL CHAMBER
・ R.Kelly/Black Panties
・ DJ Koze/Amygdala
・ Milosh/Jetlag
・ NHK'Koyxen/762
・ 大森靖子/絶対少女
・ Wanda Group/Slab About Being Held Captive
・ Burial/Rival Dealer

※編集中

(2013年の熟聴盤⑪)
(2013年の熟聴盤⑩)
(2013年の熟聴盤⑨)
(※2013年の熟聴盤⑧)
(2013年の熟聴盤⑦)
(2013年の熟聴盤⑥)
(2013年の熟聴盤⑤)
(2013年の熟聴盤④)
(2013年の熟聴盤③)
(2013年の熟聴盤②)
(2013年の熟聴盤①)

2013年12月22日日曜日

2013年12月のカセット・レヴュー(随時更新予定)

◎Lisa Papineau/Blood Noise
ディアマンダ・ギャラスも彷彿させるゴシックな風貌に、タイトルが「血のノイズ」ときた。さぞかしパンチの効いた作品かと思いきや、拍子抜けするほどアンニュイなシンセ女子。多重ヴォーカルはビョークっぽくもあり、バーモントの才媛。

◎Mirror Kisses/Bad Dreams
ヴェイパー風のジャケとは裏腹に、王道のシンセR&Bというか、ポスト・チルウェイヴのシンセ・ポップ。黒っぽいチャド・ヴァリーというか、ギミックなしの清涼感はニーズはまだまだありそう。

◎Travel Kyoto/Empire Of Signs
ロシアの〈Singapore Sling〉から。ユニット名は「そうだ、京都へ行こう」か? モンドでエスノでラウンジーなトレモロ・シンセの観光音楽。けどVIDEOTAPEMUSICの方がトべるな。

◎Radiator Girls/Traumas​/​Mantras
ピッツバーグのカセット専門〈HOKO〉から。アーリー・テンネン代のサイケ・ポップというか、ガールズの生焼けな部分とスミス・ウェスタンの白乳色をアンフェタミンで溶いたような中毒性の高さ。

◎Oxytocin Dreams/Sadnoise
「視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである」な夢、というユニット名から推して知るべし。沈み込むようなダウンテンポとスモーキーなアンビエント、ブラックネス……。「悲しいノイズ」というアルバム名も良し。OFWGKTAからこういうのがひよんと出てきてもおかしくない、というか、かつて〈Anticon〉に期待していたものを今ではオッド・フューチャー周辺に期待している自分に気づく。The Internetのアルバムも素晴らしかったしなー。

◎Stupid Bummed/Get Used To It
USアンダーグラウンドのメッカ、西海岸ロング・ビーチの〈Juniper Tree Songs〉から。奇盤を期待させるジャケットだが、中身は意外にドリーミー。鋲ジャンの代わりにシティ・ボーイ・ルックで着飾ったアラン・ヴェガ、夢見心地のスーサイドのよう。

◎Erasurehead/Moonwort
というか、そもそもモスクワのレーベルで名前がシンガポールでハワイとかタグを付けられても意味不明だろう。古き良きレトロフューチャー。ジョー・ミークと『Stereopathetic Soulmanure』の頃のベックがエド・ウッド映画のサントラをサンプリングで作り上げたようなやっつけ感も随所に。

◎Fluorescent Heights/Tidal Motions
今年も打率が高かった〈Constellation Tatsu〉から。ニュー・エイジ志向丸出しの曲タイトルそのままの、美しく青きアンビエント。

◎Linckoln Public Library/Linckoln Public Library // MANNEQUIN
フロリダの「ザ・ヴェイパー・ウェイヴ」。他に特筆すべきことは何もないが、なぜかヒューイ・ルイスが無性に聴きたくなる。

◎Fortyone/Go Bananas
ウェストバージニア州モーガンタウンの奇盤テープ専門〈Crash Symbols〉から。バナナのアートワークからヴェルヴェッツを連想した自分を呪いたくなるほどのカートゥーニッシュでスカミッシュなサンプリング/テープ・コラージュ・ミュージックス。でも異様に愉しい。シナトラも歌っているし。

◎Saintes/Horizontal​/​Vertical
フランスはパリの女性ソロ・プロジェクト。そもそもはダーク・ウェイヴ系のバンドで活動していたとか。ノー・ウェイヴィなギターの不協和音、フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンド、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、キム・ゴードン……などなど。激クール!!!!!

◎Exotic Club/No Dance
タイトルもグループ名も投げやり。けれど嫌いじゃない。コールド・ウェイヴなシュ・シュというか、ニューロマをかじったケイヴというのか。Featureless Ghost/TWINSのMatt Weinerが関わっているのも個人的にはポイント高い。

◎Old Light/YES
ポートランドのローファイなテーム・インパラ。何ピースか知らないが、サイケデリックもファンクもブルース・ロックも洒脱にこなす手練揃いか。「YES!」でしょう。

◎Dead Coast/Dead Coast
LAらしいドリーミー・ガレージ・ポップ。ベスト・コーストのネガのようなバンド名だが、アーシーな演奏も聴かせる奥行き、巧者ぶりにへぇ~、と。













2013年11月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年10月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年9月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年8月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)

2013年12月1日日曜日

告知⑧:監修シリーズ〈Signs and Symptoms〉



第9弾のリリースになります。
タイトルはマジック・マーカーズの3年ぶりのニュー・アルバム『SURRENDER TO THE FANTASY』。
詳細はこちらのリンクを読んでいただくとして。
これまでに8作品リリースさせてもらってますが、個人的にはいちばん思い入れが強いです。
2000年代にもっとも思い入れ強く追いかけていたバンドのひとつ。
ぜひ!
おまけで、SPIN誌の「Album of the Week」に選ばれた記事も。


スケジュールはまだフィックスされていませんが、第10弾のリリースも決まっています。
そして欠番中の第4弾も近日中に発表できるか?、、と。
過去にリリースされた作品↓もあらためて。

http://junnosukeamai.blogspot.jp/2013/11/signs-and-symptoms.html

よろしくお願いします。





2013年11月29日金曜日

2013年の熟聴盤⑪

・ 豊田道倫 & mtvBAND/FUCKIN' GREAT VIEW
・ Hi,how are you?/バンホーテン
・ Ejecta/Dominae
・ あだち麗三郎/6月のパルティータ
・ Rくん/Rくん
・ Perera Elsewhere/Everlast
・ PROPOSE/彷彿とさせる
・ Blood Orange/Cupid Deluxe

※編集中

(2013年の熟聴盤⑩)
(2013年の熟聴盤⑨)
(※2013年の熟聴盤⑧)
(2013年の熟聴盤⑦)
(2013年の熟聴盤⑥)
(2013年の熟聴盤⑤)
(2013年の熟聴盤④)
(2013年の熟聴盤③)
(2013年の熟聴盤②)
(2013年の熟聴盤①)

2013年11月6日水曜日

告知⑥:監修シリーズ〈Signs and Symptoms〉



第8弾のリリースはケイヴ(CAVE)。
USアンダーグラウンドの奥座敷ミズーリ州出身のクラウト・ロック・ミュータント。
マージャンら地元シンジケート“Columbia Diaspora”の中核。
〈Drag City〉からの最新作になります。

日本盤には特典もあるみたいです
メンバーのサイド・プロジェクト、ビッチン・バヤスもよい。


第9弾のリリースもすでにアナウンスされています。
間もなくあらためて。
過去のリリースはこちら↓

よろしくお願いします。






2013年11月2日土曜日

2013年11月のカセット・レヴュー(随時更新予定)

◎Comanche/Silicon Basilica
音楽性と土地柄の紐付け、あるいは経歴や人脈と音楽性との脈絡が今やあらゆる領域においてグダグダで、いわゆる通史的な遠近感を伴う聴取みたいなものはもうマヂ無理。。と痛感してならない昨今。いわば“総ミクステ化”みたいな、まさに“ランダム・アクセス・メモリーズ”とはじつに現在を象徴する示唆的なタイトルだなーと改めて。似たような実感は数年前にスフィアン・スティーヴンスの『The Age of Adz』を初めて聴いたときにも得たものなのだけれど……そのことについては以前にこうツイートした。「スフィアン・スティーヴンスの新作を再聴。傑作なれど、この目まぐるしさ、過剰さを、それほどさように感嘆するまではなく…それはたぶん、よく言われていることだけど、自分の耳が、気付かない内に、想像以上に断片化され、トランスカルチャライズされてしまっていることの表れなのかなあ、とも」「スフィアンの“ルーツ”への関心とは、いわゆるアメリカーナ的なそれではなく、そもそも(現在の形で言う)アメリカにルーツなんて呼べるものなどない、という“起源”への疑い、の裏返しなんじゃないかと。つまり鼻っからトランスカルチャライズドされ、ミックステープのようなアメリカの祖型学」。あるいはこんなふうに。「タモリの『タモリ3』、やってることって多分、今でいえばスフィアン・スティーヴンスの「THE 50 STATES」みたいなものだと思うんだけど、デタラメ(偽史、模写、我流etc)を本物っぽく見せる・聴かせる技能ってのは、おそらくタモリの全ての芸(能活動)に通じる氏の才、なんだろうな」「タモリの「タモリ3」、これ、戦後日本の音楽・文化や歴史をテーマにした、いわばでスフィアン・スティーヴンスが「THE 50 STATES」でやろうとしたことの47都道府県バージョンだよなあ。ただ、脚色とデフォルメの効いた、偽史的要素が濃いけど」。この辺りは別の機会に改めて精査したいな。

◎Daytime Television/Youth With Skull I&II
お馴染み〈Exo Tapes〉から安定のヴェイパーウェイヴ。なんかもうこういう音楽を聴いていても耳が全く反応しなくなってしまった。ただ右から左へ受け流すように聞き流す……そのへんの退屈さ、物足りなさというのもやはり上記の内容と繋がっていて、もはや聴き方や視点みたいなものを意識的に変えることで“脈絡”や“遠近感”みたいなものを強引にでも炙り出さないかぎり、それはただ、無限に広がるネット空間でたまたま出会った一回かぎりの点在する聴取体験に過ぎず……という、ありきたりの感想しか。まあ、そういうリニアに線が伸びて面へといたるような“シーン”とは無縁であり、だからこそ“今”なわけだけど。それとは別の話で、本作についてはInternet Clubとの共演がフックなんだろう。

◎ Marie Davidson/Marie Davidson EP
ぱっと見はグライムスとシャルロット・ゲンズブールを足して割ったような面影。Les Momies de PalermeやHotel Monochrome等々のユニットで活動してきたモントリオールのシンセ女子によるソロ名義で、アブストラクト~イルビエント(懐かしい!)や仏語のスポークン・ワード(?)も操り数多の先達&玉石混交のフォロワーを煙に巻く。リリースはテキサスのカセット&ヴァイナル専門〈HOLODECK〉から。

◎silent land time machine/I am no longer alone with myself and can only artificially recall the scary and beautiful feeling of solitude EP
テキサスはオースチンのサイケ・フォーク~コラージュ作家。幾重にも重なる霧深い音響テクスチャー、ストリングスの悲嘆にくれた調べ、ピアノが奏でる懐かしいメロディー、猛禽類の鳴き声、ヴォイス・サンプリング、不規則なピッチ、ダウン・テンポ……などなど。Brothers Of The OccultとIlyas Ahmed、ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー、ボーズ・オブ・カナダが4トラックにしたためたサウンド・ダイアリー。





2013年10月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年9月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年8月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)

2013年10月29日火曜日

2013年の熟聴盤⑩

・ Arcade Fire/Reflektor
・ Bewilderbeast/Unreal Estate
・ Capsule/Caps Lock
・ Forest Swords/Engravings
・ Jamaica/TBA
・ James Ferraro/NYC,Hell 3:00 AM
・ Juana Molina/Wed 21
・ Laurel Halo/Cance Of Rain
・ Magik Markers/Surrender to the Fantasy
・ Moin/EP
・ Noveller/No Dream
・ Rene Hell/Vanilla Call Option


※編集中

(2013年の熟聴盤⑨)
(※2013年の熟聴盤⑧)
(2013年の熟聴盤⑦)
(2013年の熟聴盤⑥)
(2013年の熟聴盤⑤)
(2013年の熟聴盤④)
(2013年の熟聴盤③)
(2013年の熟聴盤②)
(2013年の熟聴盤①)

2013年10月12日土曜日

告知⑤:監修シリーズ〈Signs and Symptoms〉



第7弾のリリースはFUZZ。
タイ・セガールの新バンド。
今度のセガールはドラムを叩いています。

Fuzz - Fuzz
※国内盤を購入すると特典が付きます。
セガールの『Sleeper』も今購入すると特典付き。

次の第8弾のリリースもすでに告知されていますが、それは改めて。
過去のリリースはこちら↓
http://junnosukeamai.blogspot.jp/2013/06/signs-and-symptoms.html
http://junnosukeamai.blogspot.jp/2013/08/signs-and-symptoms.html
http://junnosukeamai.blogspot.jp/2013/09/signs-and-symptoms.html

どうぞご贔屓に。

2013年10月2日水曜日

2013年10月のカセット・レヴュー(随時更新予定)

◎Noumenal Loom/Holly Waxwing - Goldleaf Acrobatics
バーミンガムのコラージュ作家。初期マトモスとヴェイパーウェイヴの混淆、world's end girlfriendの童心とワンオートリックス・ポイント・ネヴァーの露悪、Bruce HaackのカートゥーンとCo Laのアヴァンギャルド……などなど。耳愉しさに溺れたくなるタイニー・エレクトロ・ポップ。

◎former selves/In Passing
ここ数年ですっかり名を上げたオークランドのPaul Skomsvold。ときおりヒス・ノイズも巻き込みながら、ギターとシンセで丁寧に構築されたドローン・アンビエントは、もはや円熟の趣も。もっとも、「通過中」を意味するタイトルからは、しかし、まだまだ探求の過程であることの表明が窺えるようだが、“post-nostalgia”と称されたその先にあるものとは、未来なのか、さらなる郷愁の深みなのか、それともヴェイパーウェイヴ的なネット空間でカオス化したデストピアなのか。ところで、ももクロの“仮想デストピア”って曲のタイトル、とてもヴェイパーウェイヴっぽいと前々から思っていたのだけれど。。

◎Jorge Velez/Professor Genius "À Jean Giraud"
ジョン・レノンの横顔を捉えたアートワーク。イタロ・ディスコとコスミッシェなジャーマン・エレクトロを折衷、というよりはランダムに並べた、やや締まりのない構成。ドープな『MMT Tape Series: Home Recordings 1996-1999』の方がオススメかも。

◎WWC/Meditations​/​Industry
テキサスはオースティンのテープ・レーベル〈Obsolete Future〉から。デトロイティッシュなアンダーグラウンド・テクノは新興〈Tesla Tape〉(※余談だがTeslaはテスラ・コイルから取られているのだろうか、やはり)とも共鳴するポスト・インダストリアルなカラーも帯びていて、今っぽいっちゃあ今っぽい。しかし“Meditations​/​Industry”ってフレーズ、非常に示唆的な響きだ。






2013年9月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年8月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)

2013年9月28日土曜日

2013年の熟聴盤⑨

・ Fuzz/Fuzz
・ 平賀さち枝/ギフト / いつもふたりで
・ Darkside/Psychic
・ ゑでぃまぁこん/カミナリデンゴン
・ Lee Ranaldo and The Dust/Last Night On Earth
・ Larry Gus/Years Not Living
・ Moin/EP
・ N-qia/Fringe Popcical
・ Omar Souleyman/Wenu Wenu


※編集中


(※2013年の熟聴盤⑧)
(2013年の熟聴盤⑦)
(2013年の熟聴盤⑥)
(2013年の熟聴盤⑤)
(2013年の熟聴盤④)
(2013年の熟聴盤③)
(2013年の熟聴盤②)
(2013年の熟聴盤①)

2013年9月21日土曜日

告知④:監修シリーズ〈Signs and Symptoms〉



現在、第6弾までリリースされている監修シリーズ〈Signs and Symptoms〉。

それと連動して、少し前からディスクユニオンのフリーペーパー「Alternative Wavers」の方で「From the desk of Signs & Symptoms」という連載をやらせてもらっています。

基本的に〈Signs and Symptoms〉のリリース作品・アーテイストを紹介する内容ですが、その周辺の動きや関連作品などについても触れたものになってますので、店頭でぜひお手に取っていただければ。

来週末に配布予定の最新号(※マジー・スターが表紙)では、ビル・キャラハンに絡めて〈Drag City〉の近況についても(紙幅に制限があるので、さわり程度ですが)書いています。

ちなみに、最新リリースとなる第7弾の作品、そして欠番中の第4弾のリリースについても、近々発表できるのではないかと思っています。

こうご期待。


2013年9月12日木曜日

告知③:監修シリーズ〈Signs and Symptoms〉



第6弾のリリースになります。

Bill Callahan - Dream River
国内盤先行、さらに今回は歌詞対訳つき
こちらにも→http://blog-ia-rock.diskunion.net/Entry/499/#499

今後のリリースにもこうご期待。
第1弾~
5弾の作品も、あらためて是非。
よろしくお願いします。

2013年9月1日日曜日

2013年9月のカセット・レヴュー(随時更新予定)

◎Twin Peaks/Sunken
最近CDでリイシューされたシカゴの19歳ズ。ストレンジ・ボーイズとかタイタス・アンドロニカスやスミス・ウェスタンズが登場した2009年とか2010年とか、あのほんの束の間を過ぎたピークの記憶を思い起こさせる。フレッシュで向う見ずなリヴァーブ・ガレージ・ポップ。

◎Filthy Huns/S/T
Not Not Funのお家芸、と言っていいだろうダスティーなダブ・サイケ。サウス・ダコタのNick Koenigsによるソロ・プロジェクトで、歌心と抜き差しに、音や遠雷のサンプリングも交える情感あふれた演出に心憎さを。その深い音像からはロキー・エリクソンやレッド・クレイオラの木霊も聴こえてきそうだ。

◎Jan Matthé/Musik Für Gotteskinder 1
ラス・メイヤー風のジャケが目を引くベルギー産のカルト。シンセ、サイケ、ニューエイジ、ピアノ……bandcampのダグを集めても参考にならず、聴き終えた第一印象は「ファンタスティック・プラネットなエル・トポのサウンドトラック」、、。

◎ANGEL EYES/Dire Dish
今春〈Bedroom Suck〉からアルバムをリリースしたAndrew Cowieのソロ。あれとこのNNFからリリースされたカセットが最初うまく結びつかなかったのだが、当時はなんとも形容しがたかったサウンドに「Vapawave」という言葉を与えられて以降、その手の音楽に対して思考も聴覚も能動的なリアクションを止めてしまったようなところが自分にはあり、うーん、、と思うことが最近多々。ノスタルジアとオプティミズムをこじらせてしまったような音楽…余談だが「Vaparwave」と「Sea Punk」についてはエリック・セラの音楽(※90年代のリュック・ベンソンの映画)を聴けばある程度のイメージを掴めるんじゃないかと思っている。『フィフス・エレメント』のヒロインなんてウルトラデーモンみたいなファッションだし。

◎Devonwho/Perfect Strangers
フェネスの『エンドレス・サマー』もWunderも今年の夏は効き目がなかった。暑過ぎたのか、それとも彼らの音楽への関心が薄れたのか。代わりに聴いていたのは、Airheadのアルバムと、モントリオールは〈Arbutus〉の漬物石TONSTARTSSBANDHTの片割れEolaの白目を剥いたゴスペル、そしてこのポートランドのトラックメイカー。フィーチャリングされているzeroh、SWARVYとのトライアングルも今後が楽しみ。

◎p. grimes*/Untitled
一部で話題のデュオ。Von Himmelの片割れということから成り行きで手にした一本。Von Himmelのクラウト・ロックにも振れたコスミッシェなジャム・サウンドと比べると、まあノーマルな部類と言っていいだろうミニマル・ドローンを展開。可もなく不可もなく、というわけではないけども。。

◎Gnomeadze/Gnomeadze
〈Bathetic〉のMerrylことWill Isenogleと、EneaのDavid Grubbaによるユニット。前者はゴッドスピード的な黙示録的響きもたたえたドローンをやっていたことを考えると、もしかした後者に近いテイストなのかもしれないが、あいにくEnea自体を聴いたことがなく、、ノンビートのまま無重力の空間を回遊するようなシンセのピュア・ドローンは、恰好の安眠効果でもってアンビエントの淵へと手ぐすね手ぐすね。

◎Tereshkova/Intergalactic Letdown
シカゴのベッドルーム・アンビエント。たとえばカーラ・ボズリッヒがグルーパーやジュリアナ・バーウィックのやり方を真似ているような、抗いがたく魅惑的なドローンとはやや異質なハスキー・ヴォイスのレイヤーが独特。ギター・ソロのアメリカン・オルタナティヴ感。しかしこれは素晴らしい。。

◎Strange Mountain/Slow Midnight
インドネシアはジャカルタのMarcel Theeによる、数あるプロジェクトの中のひとつ。テープ・マニュピレイターを操り、丹精込めて重ねられたシンセ・スケープ。聳え立つスディルマン山脈から吹き降ろされるまばゆい音の風紋。。

◎Josh Mason/Timecode Beach
好調〈Digitalis〉から。Celer(彼らも相変わらず多作だ…)をローファイなビットで再生したような、粒子が粗くもみずみずしい余韻を引くギター・アンビエント。どこかの南国だろうか、静寂をたたえたような砂浜の写真を天地逆にレイアウトしたアートワークが美しく、なんだかとても象徴的。

◎Mind Over Mirrors/The Voice Rolling
またも〈Digitalis〉リリース作品。Peeesseyeを始めとする数々のプロジェクトや、Acid Birds等での制作で知られるJaime Fennellyのソロ・プロジェクト。Barn Owlからエスニック~中近東趣味を灰汁抜きしてインダストリアルをまぶしたような、脈打つビートやドローンのうねりが伝える金属的な触感。マスタリングがサン・シティ・ガールズ周辺~アニマル・コレクティヴの初期作品も手がけたスコット・コルバーンというのもミソ。

◎Brandon Hurtado/Hotel
風景写真が飾られたアートワークを眺めながら、かつてグローイングやHoodだったり、〈Kranky〉や〈Constellation〉の一時期の作品に同じく風景写真が飾られたアートワークが多く目についたことを思い出す。Hoodはタイプが異なるが、その対象はやはりドローンやアンビエント系のサウンドが多かったような気がするが、それらはそれを環境音楽として聴くことを明示しているというか、そういえばブライアン・イーノの作品にはあからさまに風景写真が飾られれた作品はあまりなかったのでは……という気がするのだが実際はどうなんだろう。調べればすぐわかることだけど、まあ、どうでもいっか。

◎Paco Sala/Ro​-​me​-​ro
シンセ・ポップやイタロの影響も窺えるエレクトロニックは、最近の〈Digitalis〉のリリースの中では色気があるというか、ポップへの目配せもそこはかとなくチラホラ。ダウン・テンポの美しさにトリップホップ・リヴァイヴァルの反響を聴くことができるが、聴こえるか聴こえないかといった感じになかなか顔を見せない、女性ヴォーカルの艶めかしさに強く焦らされる。ゾラ・ジーザスもナイト・ジュエルもジュリア・ホルターも、最近はみんな過剰に(※あくまでキャリア比だが)ポップに走る傾向にあるが、個人的にはやはりこれくらいの温度感が好み。この按配がじつに難しいし、際どい。

◎Magnétophonique/Lush Islands - Illusion of Paradise
オリエンタルな音色を奏でるシンセのアルペジオ。鳥なのかイルカなのか動物の鳴き声、雨音のようなミュージック・コンクレートがサンプリングされている。トイトロニカというか、ゆりかごの中で聴くガラガラ、吊るされたメリーモービルを眺めるような感覚。退行を誘うチル、ねんねんころりやおころりやのヒプナゴジア。。



◎Raju Arara/004
ベルギーはアントワープの女性エレクトロ奏者。モジュラー・シンセによる点描とうねり。その端整な反復。アントワープといえば若手デザイナーへの政府からの積極的な助成で知られているが、それは音楽も含めたアート全般に対して手厚い制度なのだろうか。たとえばカナダもそうだけど、公金が将来有望な若手アーティストをサポートしている、という仕組みについてはいろいろな意見があるだろうけど実際にモントリオールのアンダーグラウンド・シーンの活況なんか見ると、それがどの程度助成の影響があるものなのか知らないけど、悪くはない話なのかなとも思う。

◎Discoverer/Mind Deco
ピッツバーグ在住(ではないか?)のBrandon Knockeによるシンセ・ウェイヴ。隙間を多く含んだレイヤーはDolphins Into The Futureほどのフローティング感とまではいかないものの、よりアンビエントに拠った/寄った/酔ったシンセの繊細なタッチにうっとり。しかし思うのだけど、こういう音楽というのは、本来はカセットのようなローファイなメディアよりも高品質な記録媒体の方が作品としてリリースされる場合は作り手として好まれるものなのではないだろうか、という疑問が常々。まあ、だからこそデジタルでも同時配信するのだろうけど、80年代のノイズやハードコア、90年代のギター・ロックならいざ知らず。。

◎Paul Lawler/ Opus
タンジェリン・ドリームのZlatko Pericaが数曲でギターを演奏。バレアリックとドローンとインダストリアル、そしてジョルジオ・モロダーを繋ぐような、旬といえば旬の音のような気も。“Post Apocalyptic”なんていうハッタリ感満載なナンバーも。しかし、この界隈の音楽で、マニュエル・ゲッチング的なギター・ミニマルとは異なるハードロック的なギター・ソロが堂々と挿入されるというのも、なんともシュールで面白いといえば面白い。ピッツバーグの〈VCO〉から。

◎Beynon Archival/Works From The Beynon School Of Audio Architecture
「The sounds of ghosts.」とある。役所広司が音効技師を演じた黒沢清の『降霊』を思い出した。写ってはいけない姿、録れてはいけない音。その禍々しい気配を漂わせたドローンとアンビエント、ミュージック・コンクレートのドキュメント。




◎Silver Antlers/Turquoise Dream
ユタのアンビエント/ドローン・ポップ。トライバルなビート/パーカッション、川のせせらぎや鳥の鳴き声といった具体音を織り交ぜつつ、中編的な佳作が3曲。寒い冬の季節の中、夏を待ち焦がれながら作られた音源だとか。


◎Not Waving/Redacted

"波打たない"、とでも訳されるのだろうか。いやいや。初期のOPNにも例えられるシンセ・ウェイヴは、むしろ強かに波打ち、UKの〈Tesla Tapes〉のリリースや〈Tri Angle〉のハクサン・クロークの隣に並べたいポスト・インダストリアル/ミニマルな余韻は抗いがたく魅惑的。BPMは全体的に早めで、不意に差し込まれるピアノのメロディーが美しい。


◎Lace Bows/Bows of Summer

活動拠点(?)はポルトガルのリスボン。リスボンといえばパンダ・ベアの移住先としても思い出される。フィールド・レコーディングも編み込んだモコモコとしたエレクトロニクスのレイヤーは、現実逃避のど真ん中、強烈なヒプナゴジアだ。そこにビートルズの“ロング・アンド・ワインディング・ロード”やオールドポップがスクリュー気味に巻き付けられたりする。浅い眠りに深酔いしそう。。〈Exo Tapes〉から。

◎Angel 1/Liberal
以前にも取り上げた〈Constellation Tatsu〉からの作品に続き、新たなリリースは最近じわじわと注目を集める〈Exo Tapes〉から……なのにCDRという。たとえばアリエル・ピンクがUSインディーに持ち込んだAORの再評価(というか新解釈)からヴェイパーウェイヴへ、という間に地続きとされる文脈らしきものがあるとして、その流れの上澄みを上手く掬い取った――悪い意味ではなく、いい意味で――ような“軽さ”。それこそネット空間で有象無象に量産・複製される、露悪的な手合いとは異なる整理された音の抜き差しが、この聴き心地の良さのゆえんなのだと思う。〈Constellation Tatsu〉からの作品ではA/B面という収録だったが、本作では曲ごとに頭出しがされており、その構成もリスニングの上で吉と出たようにも。

◎Bataille Solaire/Documentaires
"境界線の溶解"というコンセプトらしい。精神と物質、動物と植物、自然とデジタル、宗教、教養……などなど、あらゆる領域に引かれる境界線の溶解。まあそれはさておき、サンプリングのカットや配置/ペースト、幾何学的なリズムの構成と企みに満ちたレイヤーの耳愉しさは、第一印象でコーネリアスの『Sensuous』、もう少し砕けたユーモラスと匿名性を感じさせるが――最近だとワンオートリックス・ポイント・ネヴァーなんかも連想させる。絶好調の〈Constellation Tatsu〉からだが、いわゆるヴェイパーウェイヴ的なもののアイロニカルな戯れとは距離を取り、何かしらのリニアな文脈/歴史性にみずからを位置付けようとするような前向き(?)な意思が、音からは感じられる。

◎Grapefruit/Stolen Highway
上のBataille Solaireとともに、〈Constellation Tatsu〉がリリースする今夏の3本の内の一本。モジュラー・シンセのうねりにリズミックなベース音、ビート・プログラミングが適度に添えられ、スピリチュアル~ニューエイジ一辺倒というわけではなく程よい持続感・疾走感を得られる曲もいくつか。しかし、エレクトロニック・ミュージックにおける「高速道路(Highway)」というモチーフ/イメージは、今も健在なのだろうか。












2013年8月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年7月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2013年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)