今や本家(?)のモントリオール〈Constellation〉より注目を集める〈Constellation Tatsu〉だが、所在地のオークランドはCankunやJefre Cantu Ledesma、Food Pyramid等々のホームタウンとしても知られる目下USアンダーグラウンド・シーンにおける要衝のひとつでもある。そんな地元が送り出す期待のシンセ・ポップ。ラウンジとハウスをスムースに繋いだA面もそれはそれだが、Inner Tubeが突然ブレイクビーツを始めちゃったりしたかと思えば、神妙なアンビエントですまし顔を決め込んだりする神出鬼没なB面の方が、長時間のリスニングに耐える個人的には。
◎Strange Mountain/Slow Midnight
インドネシアはジャカルタのアンビエント作家。テープ・マニュピレーターを駆使し、フィールド・レコーディングスも混ぜ込むみずみずしいシンセ・スケープは、不思議と環境音楽然とした音ずまい。彼の地の熱帯気候も忘れる、ひんやりとしたエレクトロニクスの肌触り。
◎Matthew Dotson/Revolution/Circumvention
〈Already Dead Tapes〉……お前はもう死んでいる、とでもいう意味だろうか。LAのサウンド・アーティストは、一見シラフなアンビエントにユーモア満載のコラージュ、バレアリックなビートを露悪的に織り交ぜ、目まぐるしいカット&ペーストでリスナーを注意欠乏症へと誘う。レビューではジョン・レノンのレヴォリューション9やオノ・ヨーコが引き合いに出されていること自体が質の悪いパロディのようにも映るが、そんなA面に劣らずB面では、まるでサン・ドリップスがチップチューンとウルフ・アイズとラーガをアマルガメイトするような倒錯した芸当も披露。食えないなー。。
イルカとプーチンとキャメロン・ディアスでお馴染みの〈EXO TAPES〉から、グラスゴーのマルチ・レイヤード・ギタリスト。エフェクターを操りエレクトロニクスやコラージュも織り交ぜつつ、ドゥルッティ・コラム~ジェームス・ブラックショウのラインを継ぐようなギター・アンビエンスを披露。
◎Dolphin Tears/Pure Water
イルカでアンビエント……となれば否が応にもドルフィンズ・イントゥ・ザ・フューチャーを連想してしまう。そこまでの浮遊感はないかもしれないが、環境音楽然とした透き通るシンセ・ウェイヴはネイチャー系のサウンド・トラックにもふさわしい。それにしても出身地は本当にジャマイカなのだろうか。Casino Gardens、The Arcade Junkies等々の名義も使う〈Beer On The Rug〉周辺アンビエント作家らしいが、さて。
◎Bird People/Water Buffalo
フルートが大蛇のようにうねる、かなり本格的な佇まいのリチュアル・サイケ。アート・ワークが雰囲気を醸し出しているが、一昔前~フリー・フォーク全盛期の〈Important〉や〈De Stijil〉周辺で量産されていたふうのドローン・ラーガは、それこそサン・アロウやバーン・オウル等々が賑わす昨今のUSアンダーグラウンドの文脈から聴き返し、掘り返してみるのも一興かと。
(※2013年6月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2013年5月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2013年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2013年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2013年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2013年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
(※2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
(※2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
(※極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
(※極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)
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