◎Decimus/Glass Tetany
ノー・ネック・ブルース・バンドのPat Muranoによるプロジェクト。武満徹風な怪奇音響を奏でるAサイドから一転、インダストリアルなコズミック・オペラの様相も垣間見せるBサイドが圧巻。 USアングラ~フリー・フォーク周辺の樹形図に思いを馳せる。 絶好調NNAから。
◎Quicksails /A Fantasy in Seasons
Digitalisからのリリースに続いてNNAから。クラウト・ロック仕込みのシンセ使いはこの界隈では食傷気味だが、ライヴ・パーカッションを織り込み複雑な文様を描き出すさまは得難く魅力的。エレクトロニクスとサンプリングが迷彩柄に溶け合い、 脳髄を溶かすような最深トリップへと誘う。
◎M. Akers/Mythical Abyss
ワシントンのアンビエント作家。アナログ・シンセとギター・ループ、ドラムマシーンをねっとりと重ね、沸々と誇大=古代妄想を膨らませるニューエイジ・サイキック・アート。
◎Quartz Safari/s/t
アメリカ人とノルウェー人のデュオ。フィールド・レコーディングも編み込んだ浮遊系アンビエントで、アコギのループに映える雨音のようなノイズが美味。
◎Ypotryll/Yellow Smoke
管楽器のように鳴り響くシンセのループ。やがて電磁層に飲み込まれるようなノイズの渦をへて、オーロラを描くように光彩が翻る宇宙空間へトリップ。
◎Vasectomy Party/Sterile Daggers
フロリダのノイズ・ミュージック専門Lava Churchから。No Funから即リクルート、出演依頼が舞い込みそうなハーシュ&スラップスティックなパワー・エレクトロニクス&暴力音塊。
◎Andreas Brandal/Turning Point
吟醸派とも縁のある北欧ノルウェーのアンビエント作家。武満徹的な怪奇映画音楽をジョン・カーペンターが70sシンセ・サウンドで再構築したら、、まるで砂の女・ミーツ・ニューヨーク1997。
◎Toning/Ideas Of Visions/Stuck In Slime
今、ノリにノッてるConstellation Tatsuから。 シンセやハーモニウムとベルやヴァイオリンなど生楽器や具体音を織り交ぜ、OPNとエメラルズの間の緩衝帯を匍匐前進するようなじりじりと粘り強いトリップ・ミュージックを放出。
◎Dwellings/Don't Say Nothing
同レーベルのDRU$Sをきっかけに知ったカセット専門Tesla Tapesから。素性はともかく、 この疾走感溢れるマシーナリーなミニマル・テクノはレイムやアンディ・ストットといったポスト・インダルトリアル勢とも微妙に距離を取りながら、バレアリックなピーク・エクスペリエンスを創出する。潜り飽きて幾ばくかの光を欲する向きに。
◎Obrillos Ryebon/Classics
カセット専門Lava Churchから。典雅な響きもたたえたクリスタル・シンセ・アンビエント。根拠はないのだけど、この手の音楽を聴いているとなぜか80年代の日本映画、例えばディレクターズカンパニーの作品を想起してしまうのはなぜ?
◎Teleseen/Passages
NYとリオを往来するプロデューサー。近年のNNF~100% Silk周りの停滞感を突破する、このZE伝来のミュータント感こそキモ。カリビアン、ダンスホール、エチオピアン・ダンス、サンバ……等々、文化横断的なマッシュアップが魅せる&踊らせるトライバル・アート・ディスコ。
◎Moon Wheel/Moon Wheel
Ill Windsとのスプリットも良作だったアンビエント作家Olle Holmbergのフル。Not Not Funからのリリースということで、、まあ、それはそうと最近のNNFはどうなんでしょうか。Profligateあたりが新たなピークを作り出してくれれば、、と期待しつつ、まあ本作は既聴感ありなコスミッシェ・アンビエントですが、エレクトロニクスと民族楽器とダブを折り重ねたアニミスティックなムードが、かつてのFonal勢を思わせたり。
◎Profligate/Come Follow Me
というわけで、レイムやアンディ・ストットもいいけど、これぐらいコンシャスな方が好み。
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※2013年4月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年3月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年2月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2013年1月のカセット・レヴュー(随時更新予定))
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※2012年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+α))
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※2011年の熟聴盤(カセット・リリースBEST 30+2))
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※極私的2010年代考(仮)……“カセット・カルチャー”について)
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※極私的2010年代考(仮)……2010年夏の“彼女たち”について)